TOP > スポーツ > F1 GPXpress道場 > ネタ

道場TOP ネタ一覧 F1 GPXpress道場

すべては観客のために…

◇評価 20ポイント
◇閲覧回数 6,857
◇登録日
2010年10月24日
cubic-m
cubic-m
道場主

Lv.17

Check

前のネタへ
次のネタへ

すべては観客のために・・・

 なんとか開幕にこぎつけた韓国GPだが・・・。

 
韓国の全羅南道が地域活性のためF1を誘致したのが2006年。文化体育観光部は懸念を示しつつも、政界でF1特別法早期制定とF1大会の支援が約束され推進が進展した。
 200912月には「F1組織委員会」が発足しているものの、招聘した韓国有力企業の代表全てが断っている事態となった。この理由として、中国上海でのF1開催が振るわなかったため、事態を静観しているというのが有力である。政府筋も静観しており、パク・ジュンヨン全羅南道知事が組織委員長を務め、同庁の出身の組織委員会のメンバーのまま工事は進んだ。

 
韓国での記録的な猛暑や大雨に続いて、工事の進展を遅らせた理由に資金不足があると言われている。韓国有力企業でF1に興味があるのは電子企業であるLGのみで、サムソンはおろか韓国を代表する自動車会社である現代自動車ですら興味がないと明言しているほどだ。民間の大手バックアップのないまま、韓国インターナショナルサーキットは崖っぷちの状態で開催への交渉を進めていたと考えられる(F1に興味を示していると明言する、韓国のタイヤ企業クムホですらスポンサーに手を上げないのは疑問が残る)。

 
サーキット全景の風景を観た方は気付いただろうが、建設途中の高速道路や橋が至る所に存在していた。サーキット側は2011年よりサーキット周辺を近代都市建設にあてるとしているが、空撮を見る限りその言葉が空回りして聞こえる(金曜日フリー走行の時ですら、工事がストップしていたのは疑問が残る)。
 
つまり韓国サーキット側としては、今年何としてでも開催して大きく宣伝し、民間企業を誘致する必要があった。そして彼らからの資金を基に翌年からの都市建設を進めなければならなかったと考えられる。グランプリ運営上の問題はあるにせよ、開催を来年まで持ち越すと都市計画そのものが白紙となる恐れがあったからだ。つまり今年開催する以外に道はなかったのである。

 
同じ危機感を持ったのが韓国政府だろう。同じ時期に韓国・慶州でG20が開催され、世界中の目が韓国に注ぐなか、政府が認めたはずの韓国GPがダメとなっては笑い物だ。韓国は開催間際で軍を出動してサーキットの整備に乗り出したが、その背景には開催の交渉に政府も一枚かんだと考えられる。

 脛に傷を持つのはFIAも同じ。
 以前
イギリスGPにドニントンを承認したが、同サーキットは資金面で焦げ付き撤退。そして2009年に新興チームとしてUSF1を承認したが、同チームも資金面で焦げ付き撤退している。これらの問題に対して承認したFIAに非難が集まった。さらに韓国GPも失敗となると韓国サイドはもとより、FIAの承認の姿勢そのものを問われる結果となるのは十分に想像できた。彼らがレギュレーションに記載されている「最終的な立入検査は90日以内に行う」というルールを大幅に緩め、韓国GP承認に開催2週間前という異例の期間まで伸ばしたのは、こういった背景があったのではなかろうか?

 
まとめるとサーキットや韓国政府、そしてFIAも「とにかくマシンが走れば承認するしかない」という状況まで追い込まれていたのだと考えられる。

 
で、本当に無理やり開催された感のある韓国GPだが、まず運営に様々な問題が起こっている。
 
まずマーシャルが不慣れなため、オーストラリアから派遣されることとなった。フリー走行で山本左近がスピンしたが、マーシャルが赤旗と間違って緑旗を振っている始末で、一歩間違えると危険な行為だったといえる。そしてターン16付近ではシグナルが故障する始末。また縁石も整備不良の個所が多く存在しており、縁石を踏むと砂を吐き出すシーンが多く見られた。
 
悪名高いダスティーな路面や土埃の舞うランオフなど問題はゴロゴロしているものの、感心すべきは各チームやドライバーのプロフェッショナルかつタフネスな姿勢だろう。声を上げて文句を言うわけでもなく愚痴をこぼすわけでもなく、淡々とプログラムこなす様子は素晴らしかった。考えてみればサーキットの不備や路面の汚れなど今までも対応してきたのだし、状況の変化には慣れていたのだ。
 インターネットや雑誌で散々叩かれた同サーキットだが、チームにしてみればメディアが騒ぐほどのことでもなかったのかもしれない。

 
だが、今回の開催のドタバタは、集客に甚大な影響がでたように見えた。
 
まずメインスタンドの一角の席が埋まり、1コーナーなどの良席に人が増えていった。一見すると観客が多く見えるが、これらは招待客や席の割引の可能性が高い。なぜならどのサーキットもバカ高いメインスタンドの空席が目立ち、そこが埋まることは不自然だからだ。そしてメインスタンド以外の席は見事にカラカラ。カメラは必死に観客の多いところを撮影していたが、韓国にはフォーミュラーカー・レースの伝統が薄く、F1実走行の観戦も初めて。観客はどういう風に応援していいのかとまどっているようにも見えた。

 決勝レースはそこそこの集客に見えたが、低気温と雨の中、長時間にわたるスタートの延期、そしてセイフティー・カーによる長々としたパレードラップ。またトラブルを回避したためのオーバーテイクの少なさ、そして夕闇が近づいてもレース終了の判断が出ず、ライトアップの設備もなかったなど、観客がショーとしてF1を納得していたのかは疑問だ(いくら格安で観戦していたとしても・・・である)。確かに今回のレースは悪いところが全て出しつくした感はあるが、来年行こうと思ったお客さんがどれだけいたかは疑問である。

 
2007年の富士も低気温で雨のレースだったが、そのコンディションの悪さから翌年の観客数が減少したというデータがある。韓国も・・・という気がしないでもない。また、今回は観客をメインスタンドから集めていったが、正規となるとどこまで集客できるのだろうか?決勝レース途中で大渋滞の空撮があったが、あれもどうかと思う。バイパスの設定や駐車場の設備、そして開始時間の通達を含めたトラフィック・コントロールなど疑問はいくらでも湧いて出てくる。決勝時間を過ぎてあの渋滞を見ると、初期設定の時点で間違っているような気がしてならない。

 
政治的思惑で開催にこぎつき、その隙間をレースのプロが埋めた形だが、観客は満足して来年も来ようと思っただろうか?ウェバーが脱落しアロンソが首位に立った劇的なレースではあったが、その面白さの半分も観客が体感できたかは疑問である。

 
こうした厳しい意見がでるのも、ボクのなかで韓国と日本で切磋琢磨しながらアジアのモータースポーツを盛り上げてほしいと思うからだ。特に大事にしてほしいのは観客の存在である。今回は政治がらみの開催が目立ったが、結局最後まで支えてくれるのは熱心な観客の存在だ。それを踏まえて日韓でモータースポーツを盛りたてて欲しいとボクは思う。

 
来年は観客の増減は全く予想できない韓国GPではある。だが、観客はシビアなもので、つまらないと思ったイベントにリピーターは来ない。韓国GP主催者もよほどフンドシ(が韓国にあるのかは分からないが)を締めてかからないと来年の成功は難しいと思われる。

 ボクは熱心な観客がいてこそイベントが成り立つと信じて疑わない人間だ。
 今年の夏にSuper GTの予選を鈴鹿まで観に行ったが、あの猛暑の中で熱心に応援する観客の姿は素晴らしいの一言だった。モータースポーツ衰退が叫ばれているなか、イベントはこういった熱心な観客に支えられているといっても過言ではない。それはどのスポーツ・イベントでも同じで、会場まで足を運ぶ熱心なファンがあってこそイベントは成立すると信じている。またそこから生まれる応援の渦がいかにアスリートに大きな影響を与えるか?それは鈴鹿を走った小林可夢偉の走りを見れば分かると思う。あれこそファンが生んだ走り、そして可夢偉が生んだ熱狂なのである。ファンの存在を忘れてはイベントは成立などしない。

 韓国サイドにこの一文が読まれているのかは大いなる疑問だが、彼らの来季の進行に一石を投じられるのなら幸せに思う。

【このネタに対するあなたの評価は?】
☆☆☆☆☆ ☆☆☆ ☆
【キーワード】
登録されていません

ブログ? そんなの必要ありません! 今日から、いきなりアフィリエイトスタート!

【まにあ道アフィリエイト】まにあ道ならAmazonアソシエイトIDを利用してネタを書くだけで、お気軽に始めていただけます。

新着クイズ

もっと見る

新着掲示板

もっと見る