07-08シーズンのチャンピオンズ・リーグのグループステージ最終節、
レアル・マドリード対ラツィオ戦での出来事だった。
試合終了のホイッスルが吹かれるとすぐに、
レアルのFWファン・ニステルローイはピッチサイドへと向かい、
観客席の女性にユニフォームを手渡した。
その女性はそれを受け取ると、涙を流しながら感謝の気持ちをキスで表現。
それから約2分間、泣き続ける彼女をファン・ニステルローイは、
温かい表情でずっと見守っていた。
「わたしはジュディス。ルート(ファン・ニステルローイ)は友人です。
マドリードには特別な休暇を過ごすためにやって来ました。
私には、もう、あまり時間が残されていないから・・・。」
ジュディスさんは、余命2か月と宣告されていた重病患者だった。
その彼女がマドリードを訪れたのは、ファン・ニステルローイに招待されたから。
ふたりは同郷で、面識はなかったが、ファン・ニステルローイの父親が
ジュディスさんの事情を耳にし、息子に伝えていたのだ。
その日、ファン・ニステルローイはノーゴールに終わったが、
彼は誰よりも輝いていた。
→〈心温まるエピソード02〉日本で起きた事件を悲しむファーディナンド