先に述べた通り、時計師のアブラアン-ルイ・ブレゲがトゥールビヨンを発明した後、実用に足るレベルの製品が量産されるには至っていなかったが、これを1983年に実現するのが時計ブランドとしてのブレゲであった。このような歴史に敬意を表し、ブレゲの「クラシック トゥールビヨン シデラル 7255」を最初に紹介しよう。
2025年は、アブラアン-ルイ・ブレゲがフランスのシテ島に工房を開いた1775年から250周年にあたる。これを祝う記念モデルが多く発表されており、クラシック トゥールビヨン シデラル 7255はそのひとつだ。本作の最大の特徴は「ミステリー」と呼ばれるコンセプトで設計されており、トゥールビヨンのキャリッジが完全に浮かんでいるかのように見える構造を持つ点だ。
多くのフライングトゥールビヨンは、
タグホイヤー コピー 激安文字盤側のブリッジを廃し、ケースバック側から目立たないように支えている。一方、本作では、トゥールビヨンを支えるブリッジや基部を軸で支えるパーツが、無反射加工のサファイアクリスタルで製作されており、輪列とキャリッジをつなぐ接点も6時位置の開口部より外側に置かれていることで隠されている。これにより、トゥールビヨン機構が宙に浮かび、ひとりでに回転しているかのように見えるのだ。また、文字盤には宇宙空間を思わせるアベンチュリンを用いており、フライングトゥールビヨンの浮遊感をさらに高める演出となっている。
次に取り上げるのはIWCの「ポルトギーゼ・ トゥールビヨン・レトログラード・ クロノグラフ」である。ケースに、従来の18Kゴールドに比べて硬度の高い18K Armor Gold®を用いており、華やかな色調をブラックの文字盤で引き締めたデザインが印象的である。
センターの時分針、文字盤中央から9時方向に広がるレトログラード式日付表示に加え、センターのクロノグラフ秒針と、12時位置の同軸の60分および12時間積算計によるクロノグラフ機能、そして今回の注目であるフライングトゥールビヨンを6時位置に備える。
本作のフライングトゥールビヨンは、時刻修正時のトゥールビヨン停止機構が組み込まれている。トゥールビヨンが秒針に代わる役割を果たすことから、この機構は秒針停止機能に相当するものとなり、正確な時刻調整を可能としている。一般的な秒針停止と異なる点は、テンワやガンギ車だけでなく、キャリッジ全体を停止させ、ユーザー操作によって直ちに再起動させる必要があることで、停止に関わる機構の安定性と、トゥールビヨン全体の作動効率の高さが必要となる。
本作では、アンクルとガンギ車はシリコン製となっており、IWC独自のダイヤモンド・シェル(Diamond Shell®)テクノロジーを応用したコーティングが施され、摩擦低減が図られている。これにより作動効率が向上し、停止と再起動をスムーズに実現しているほか、約68時間というパワーリザーブも実現している。
続いて紹介するのは、時計技術の伝統の上にありながら、前衛的でアーティスティックなデザインに挑戦するH.モーザーの「エンデバー・トゥールビヨン コンセプト ベンタブラック®」である。本作は、H.モーザーのラインナップの中でもかなりチャレンジングだ。
本作の文字盤には、H.モーザーが文字盤に採用したことが大きな話題となったベンタブラックが用いられている。これは、カーボンナノチューブで構成された物質、およびそれを用いた塗料であり、99.965%という、入射したほぼすべての光を吸収する特性を持つ。人は、物体に当たって反射した光を視覚することで形状を認識しているため、物体にベンタブラックを施すとそれを認識することができなくなる。このようなベンタブラックを前にした時、“CGで黒く塗りつぶされたような空間を錯覚する”と言われるほどで、その吸収力の強さは驚くばかりだ。
ベンタブラックを施した本作の文字盤にはインデックスがなく、時分針とフライングトゥールビヨンのみを備えるデザインだ。文字盤開口部は黒い空間に開いた穴のようで、そこにケースバック側で支えられたケージが収められているため、浮遊感が強調されている。その異様さとともに、トゥールビヨンの機構にフォーカスしたデザインであることを強く感じさせる仕上がりである。
関連リンク:
https://www.rasupakopi.com/tagheuer_z56.html
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