チャップリンといえば、「街の灯」や「モダン・タイムス」「独裁者」などが
有名だが、この「移民」はたった22分の中につめこまれた、愛と自由の物語。
チャップリンが「赤狩り※」に遭い、ハリウッド追放される前の作品である。
アメリカに向かう移民船。
チャップリンも自由を夢見て、船に乗る。
そこで美しい女性に一目ぼれをする。
娘に母親がお金を無くして泣いていることを聞くと
そっとポケットにお金を入れる。
アメリカに着いて無一文のチャップリンは、拾ったお金で
レストランに入り、そこで、船で出会った女性と再会する。
22分の中には、チャップリンのユーモアがたっぷり込められている。
この作品はサイレント(無声)映画であるが、
チャップリンのパントマイムの上手さ、面白さ
ストーリーの楽しさ、人情臭さ
あらゆる表現に音やセリフはいらないと感じる。
※「赤狩り」とは1940年代のアメリカで行われ
当時共産主義者はアメリカで職を失った。
多くは告発や密告だったが、映画業界の中でも
作品の内容から追放される者もでた。
その影響を受けたチャップリンはハリウッドを追放された。
それから約20年に渡り、チャップリンがハリウッドに戻ることはなかった。
そして、1972年ついにアカデミー賞名誉賞を受賞する。
チャップリンの移民(THE IMMIGRANT)
1971年 アメリカ 22分
監督:チャールズ・チャップリン
チャールズ・チャップリン エドナ・パービアンス アルバート・オースティン